白のパワー、白衣のオーラ。                横田 尚美 


  久しぶりに90歳の祖母を老人施設に見舞った。

 ちょうど白衣を着た看護師さんが介助をしていた。

 彼女が言う。

 「白い服を着ている人は嫌いらしくて、全く口を聞いてくれないんです。

 ピンクの服の人(介護士)の中には、何人か話す人もいるみたいなんですけど…。」

 

  確かに白衣は医療関係者の象徴みたいなもので、こちらに緊張感を強いる。

 彼らが白衣を着るのは、清潔感を示すためと汚れをわかりやすくするためだと、

 色彩の本に書いてあった

 

  けれど、真っ白い白衣などというものを人類が手に入れたのはそう遠い昔のことではない。

 西洋服装史の本を開くと、大概初めの方に古代エジプトでは白い亜麻で作られた服が着られていた、

 白は神聖な色だと考えられていたと書かれている。

 

  ある時、友人の研究者に真っ白だと強調するのはおかしいと指摘され、初めて気付いた。

 そうか、古代にそれほど真っ白に漂白することなんて、できなかったかもしれない…。

 

 実際、漂白に使う塩素が発見されるのが1774年で、漂白技術が進むのはそれからとなるようだ。

 

  19世紀半ばに登場した百貨店を舞台にした

 フランスのエミール・ゾラの小説『ボヌール・ダム百貨店』(1883年)には、

 当時の百貨店で白物展覧会というのが人気だったことが描かれている。

 洗濯機もなければ、まだまだ高性能の洗剤もない時代のことだから、

 白い布もすぐに黄ばんでしまって、買い替え需要が高かったのかもしれない。

 その頃の人たちにとっては、真っ白い布や服に常に囲まれて暮らす生活は憧れだったのだ。

 

 今では真っ白い布など当たり前になって、逆に漂白剤の入った洗剤を嫌う人もいれば、

 染色や漂白による環境や人体への影響を気にする人もいる。それでもやはり

 清潔感や清新さ、純正さなどを感じさせる白が日常からなくなることは、今後もないだろう。

 

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  白衣を着るのは、

 何も医療関係者に限ったことではない。

 

 第二次世界大戦後のファッション界に

 「ニュールック」でセンセーションを巻き起こした

 クリスチャン・ディオールが白衣を着て、

 指示棒のようなものを持ち、

 何やら指図をしている写真がある。

 半世紀も前に撮られているのに、

 アトリエのピリピリした空気が伝わってくる。

 

 

  デザイナーやパタンナーが白衣を着るのは、

 製作している服を傷つけたり汚したりしないようにとか、

 自分たちが色のない白を着ることで製作物をよく見えるようにとか、

 そんなプロ意識からなのだと思う。

 人によっては、白衣を着ると背筋が伸びるなんていう効果もあるに違いない。

 

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